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データ・センター関連の課題上位3つとAECによる解決策

著者: クリス・カプシチンスキー
銅ソリューション事業部、製品開発マネージャー

チャド・ジェイムソン
I/Oソリューション担当ゼネラルマネージャー

数十年にわたり、ダイレクトアタッチ銅(DAC)ケーブルは、データ・センターのラックからラックへ迅速かつ安全にデータを伝送する十分な速度と容量を提供してきました。しかし、メディア、消費者エクスペリエンス、そして速度に対する消費者の期待までもが新たなイノベーションを迎えたことで、データ・センターマネージャーは、効果的なアップグレードのためにより完全なツールボックスを必要とします。アクティブ電気ケーブル(AEC)は、DACケーブルと光ファイバーの中間に位置する、待ち望まれていたものです。

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モレックスのアクティブ電気ケーブル(AEC)

AECはケーブルアセンブリー内にシリコンチップを含み、重要な高速伝送用信号を再調整します。損失のないオペレーションによる性能の改善は、AECのメリットを明確にします。しかし、AECはどのようにしてデータ・センターが今日直面する課題を直接解決するのでしょうか? それを見ていきましょう。

世界中のデータ・センターが今日直面している3つの大きな課題(そして、AECがそれらの問題を直接解決する3つの方法)は以下のとおりです。

1. ネットワーキング要件が進化しつつある

データ・センターは、すべてのデジタル変革と今日消費者がその恩恵を得ているイノベーションのバックボーンであり、エンターテイメントからAmazonのカートまでのすべてのリアルタイムイネーブルメントを提供しています。必要なデータ速度を維持し、顧客が必要とするものへのリアルタイムな即時アクセスを提供し、顧客の期待に応えるには、データ・センターはサーバーを追加してそのフットプリントを2倍にするか、既存のデータ・センターの効率を高める必要があります。

今日の56G PAM-4(400Gbps/ポート)データ・センターを考えるなら、スイッチ、サーバー、ラックは一般的にすべてDACを使用して接続しなければなりません。そして、DACがカバーしなければならない距離が3.0メートル未満ならば、DACは完璧に機能します。しかし、テクノロジーの新たな進歩とネットワーキングの進化要件が年々変化し(現在の期待は56G PAM-4 400Gbps/ポートから112G PAM-4 800Gbps/ポートへと変化中)、データ・センターのアップグレードをより効率的に行う方法は、信号損失のないケーブル接続を可能にすることです。言い換えれば、データ・センターの接続ツールボックスにAECを追加することです。

AECはどのように役に立つか

信号損失が大きいため、112G PAM-4 800Gbps/ポート環境では2.0メートルを超えて離れるサーバーどうしを接続するためにDACを使用することは効率的ではありません。離れすぎているサーバーどうしを接続するためにDACを使用すると、データがDACケーブルを進む間に信号の一部の漏出や欠損が生じ、データ品質が損なわれます。周波数が高くなると、損失はさらに大きくなります。

AECは、データ・センターがこのギャップを埋める方法を提供します。これらのケーブルの両端にはリタイマーが1つずつ搭載されています。リタイマーは、伝送の開始時と終了時に信号全体を再調整します。毎回リタイマーは信号をクリーンにし、ノイズを除去して増幅させます。新鮮でほとんどまっさらとも言える状態の信号を送り出します。リタイマーによりAECは、最長7.0メートルのサーバー間距離を可能にするとともに、データの高速伝送を維持します。

112G PAM-4 800Gbps/ポート環境でも、データ・センター設計者は1.0メートルから1.5メートルの近距離ではDACを使用できますが、AECを活用すれば最長7.0メートルまでリーチできるため、よりコストの高い光ファイバーソリューションよりも先に検討すべきでしょう。

 

    2. ケーブル配線と管理は難しくなる可能性

    データ・センターはサーバーラック間で、管路やトレイ内で25~50バンドルを管理する必要があります。こうしたバンドルは非常に大きくなることがあり、管理が難しくなります。DACケーブルは、AECに比べると直径が太く、技術者がDACのルーティングに直面した時、その直径が大きく、単にスペース上の制約が原因で最後の10本のケーブルの敷設がとても難しくなるのです。

    ケーブルのバンドルが太いと換気の邪魔になるため、データ・センターは空気の流れを確保するためにファンの回転数を上げる必要があります。これにより消費電力が大きくなり、筐体の前面から背面への冷却に向けた換気がより難しくなります。DACはそれ自体には電力を必要としませんが、パッシブケーブルと同様に、ファンの面ではより多くの電力を必要とします。

    AECはどのように役に立つか

    AECは管理しやすいように小さめのツインアックス(通常、30または32AWG(電線規格))を使用します。長くはなりますが直径が小さくなるためです。そして直径は、特に設置にあたって重要です。AECの採用によって、データ・センターはケーブルバンドルをより迅速かつ容易に敷設し、管理できるようになります。AECにより、データ・センターでは空気の流れが阻害されず、サーバーの前面から背面へ簡単に流れるようになります。

    3. コストが上昇し、データ・センターはより少ない資源でより多くを行う必要がある

    コストはすべての業界とすべての製品において重要です。データ・センターの場合、コストは非常に大きな役割を果たします。より少ない資源でより多くを行い、同じ物理フットプリントを維持し、できるだけ少ない機器に置き換えるとともに、将来の要件のための計画を行うには、データ・センターは既存のサーバーラックをより高速で効率の良いものにアップグレードするケーブルオプションを検討しなくてはなりません。

    AECはどのように役に立つか

    AECの可用性はデータ・センターマネージャーに、コストの高いアクティブな光ケーブル(AOC)に切り替える必要なく、より高速でよりクリアな信号と、より長い低損失のケーブルを提供します。DACには遠すぎるものの比較的近距離(7.0m未満)を接続する場合、AECは光ファイバーを必要としない状況における有効な中間オプションを提供します。

    AEC製品はパッシブな製品と比べてよりインテリジェントなオプションを提供し、より少ないチャネル損失と容易なケーブル管理を確保します。これらの製品は次世代ケーブルを代表し、データ・センターのアップグレードを容易にする上で極めて重要です。